最初に独断と偏見を恐れず勝手な感想を記載することをお許しいただきたい。
何時も同じことばかりで恐縮だが、旅には3つの必要条件があると考えている。
その第1はお金がなくてはどうしようもない。
その2 いくらお金があっても時間的余裕がなければ行きたくても行けない。
その3は一番大切なことで健康。
元気でなければ車椅子に乗せてもらってでは楽しくなかろう。(失礼なことを申し上げたかもしれないが今回車椅子の人の参加も結構多かった。船には車いす専用のエレベーターも完備していた)と言う事で、私に残された時間に限りがあると、多少の犠牲はあろうとも思い切って大学卒業後初めての長期休暇をとり、地中海クルーズに参加した次第です。
前置きが長くなったが船旅は退屈だろうとお考えの方もおありだろうと思いますので、どうしてどうして退屈どころか忙しい?くらいいろんなイベントがあり決して退屈はしない。ということをまず最初にお伝えしておきたい。
毎晩すばらしいショーはあるし、ダンスホール、プラネタリウム、カジノ、バー、プール、
トレイニングルームもある。ゴルフのお好きな方にはシミレーションゴルフで世界の有名なコース30いくつかがラウンド出来る。ドラコンコンテスト、パー3コンテスト、パターコンテストなどもあって自由に参加出来る。結構人気が良くてとても沢山の人が参加していた。私はドラコンコンテスト、パー3コンテストの参加した。 お勉強の好きな方はもちろん立派なライブラリーもあるし、コンピュータールームもある。地図を持ってくれば良かったと思ったがこのライブラリーにゆけば、それはそれは立派な世界地図があった。時々ここへ行って休憩かたがた眺めてきた。 医務室も完備(後述)、美容室もある。ショピングプラザもありバーゲンセールもあった。船全体が一つの街である。当然といえば当然かもしれない、なにしろ乗客、乗員あわせて4,000人の人が乗っているのだから。退屈どころか忙しいと言うことを一番に報告しておきたい。
船のことについてはいろんなホームページに詳しいことは載っているので細かいことはそちらに譲ることにしてざっと船のことを話しておきます。
今回乗船したのはQueen Mary2(以後QM2と略す)で2004年竣工の英国籍の客船で151,400トン、全長 345m、全幅 39.9m、 定員 2620人、客室数 1,310室、乗員 1220人、巡航速度 28.5ノットの文字通り世界最大の豪華客船である。
とにかくばかでかい船だがそれなりに欠点?不便なこともある。まずは港に接岸出来なくてテンダーで上陸ということが、今回は2回あった。サザンプトン港に1泊停泊すると停泊料が3000万円だそうな。本当かなと思ったが、そんなことで最終日我々が朝入港下船すると、PMには次のお客さんを乗せて大西洋横断に出港することになっていて、大変な忙しさであるとおききした。
今回の地中海クルーズには英国、米国、カナダ、オーストラリア、ロシア、スペイン等々世界55カ国から2,671名が参加(満室)、日本人はわずか11人、個人参加であったからたまたま船内で知り合った2人をのぞいて何処のどなたが参加されていたのかわからない。
さて乗船だが成田からロンドンに飛びロンドン1泊。ロンドン郊外(自動車で2時間足らず)のサザンプトン港へ。2、700人近くが乗船するのだから大変な混雑。いくつもの受付があり乗船チケット、パスポートを提出、クレジットカードを登録、顔写真が撮られた。すると直ぐに顔写真とバーコード付のIDカードが発行された。(ここから早速良く理解出来ない英語に苦労する)これが今回のクルーズで一番大切で部屋の鍵でもあり、乗船、下船の時はバーコードが読まれ、横のディスプレーに大きく顔写真が映し出され、本人かどうか確認されるとともに、今下船しているか船内にいるかが分かるようになっている。もちろん船内での買い物は(エルメスをはじめいわゆるブランド店が入っている)このIDカードを示せばよい。要するにこのIDカードさえ持っていればお金もパスポートも不要。毎回再乗船する時は飛行機に乗る時と同じボディーチェックと荷物の検査がある。一部の国では上陸観光する時パスポートも不要でとても気楽だった。
ご存じのように船はランクによって値段が大きく違う。一番上のクラスと一番下のクラスでは約7〜8倍の差がある。今回一番下ではわびしいし、一番高いのに参加するよりは2−3回旅をした方が良かろうと真ん中あたりより少し上のクラスに参加。デッキ8の部屋に迷いながら直行(大きな船なので当分どこに何があるかわかるるまで大変そう)。海の見えるベランダも付いていて視界も良い。デッキチェアーもある、快適な船旅が出来そうである。
行程だが ロンドンから約2時間のサザンプトン港を出てスペインのビーゴ、バルセロナ、フランスのカンヌ、イタリアのリボルノ、チベタベッキア、英国領ジブラルタル、ポルトガルのリスボンにそれぞれ寄港、サザンプトンに帰る13日間クルーズである。寄港地ではそれぞれいくつもの(4から10種類くらい)のショアー エクスカーションが用意されている。乗船後まず第一にこのエクスカーションの申込をした。フィレンチェ、ローマ、ニース、モナコなど有名なところはすべて欲張って観光してきた。
クルーズ中の食事料金はパッケージ料金に含まれている。朝からフルコースでもバイキングでも好みの食事がとれ、午後は優雅な雰囲気のサロンでアフタヌーンティーを楽しみ、夕食は豪華なメインダイニングで2時間近くかけてフルコースのディナーを楽しむ。夕食時のみドレスコードが決まっていて、フォーマルの日は男性はタキシードで、妻は日本をアッピールすべく着物で参加。カジュアルの日は浴衣やポロシャツでOK.メインダイニングの他にいくつものレストランがあるり、好きな時間に好きなところで飲み食い出来る。アルコール以外サインの必要はない。フルコースの夕食を希望しない時は自由にバイキング形式のレストランに行って軽くすませても良い。日本食はなかったが食べたいとは思わなかった。もっともチャーハンなどは中華風、東南アジア風レストランで食べることが出来てとてもおいしかった。(ここへ最初に行った時 are their Japanese menu?と言ったら次からは Japanese Menu? ときいてくれた)食べ放題、飲み放題でお恥ずかしいが2週間で1kg以上の体重増加、いまだに減量に苦労している次第。たくさん食べ過ぎてデッキ7を一生懸命歩いた。デッキ7は一周600mのアウトドアープロムナードになっていて 海風を受けてのウオーキングは気持ちが良かった。
船の旅の良いことは同じところに寝泊りするわけだから荷物を持ち歩く必要のないことだろう。寄港地でもショアー エクスカーションに参加しないで船内でゆっくり過ごしても良い。フィレンチェで昼食をご一緒したオーストラリアからいらっしゃったご婦人、ご主人は疲れたから船でゆっくりしているとお一人で観光に参加されていた。又近くの都市までのシャトルバスも用意されていて、自由に参加出来た。
もう一つ良かったのはパスポートなしで上陸出来た事である。(パスポートの必要な国もあったが)治安が悪いと言われるスペイン、イタリアではさしあたって必要と思われる現地のお金1万円位を持ってクレジットカードも部屋の金庫に入れてカメラだけ持って、教会に行く予定のない時はショートパンツで出かけた。(あちらの人はショートパンツの人が多かった)もっとも途中ではぐれてタクシーに乗ったり、急にお金が必要なことが起こったら困るかな?と思わないでもなかったが。
ついでにもう一つ忘れていたがチップ、日本ではチップを差し上げる習慣がないのでいつも戸惑うのだが、今回船の中ではルームサービスを頼むとか特別のサービスを頼まない限りチップは不要。アルコール飲料を飲んだ時も自動的に一定のチップが加算されるシステムになっていて、船内では一切お金を持ち歩かなくても良いと言うのも気軽であった。
もっともショアー エクスカーションに参加して降りる時ガイドさんに上手にチップを握らせている光景は勉強になった。
私も医師の端くれ、船の中にあるメヂカルセンターを見学させていただいた。予約して1日中クルーズする日のAM11時 デッキ1にある(船はデッキ14 すなわち14階まである、14階はヘリポートになっている)メディカルセンターを訪ねた。たまたま患者さんはなく、Dr.Jyotsna Sahni(女性)が愛想良く迎えてくださった。スタッフはDr.2人、ナース4人、検査技師1人、アテンダント2人であった。診察室は伝染病患者診察用の隔離診察室、歯科診察室(歯科医は乗船していない)を含む4室。その一つずつもかなり廣い。診察用ベッドは電動式。入院室もあって伝染病の隔離室を含めて4室、6人が入院出来る。レントゲン室もありデジタル方式、必要に応じてロンドンのレントゲンセンターに画像を送って診断してもらうという。検査室、小手術の出来る処置室、ナースステーション、スタッフ休憩室もある。世界中を航海するのだから伝染病関係の検査、処置室が完備しているように思われた。そして待合室も結構広い。結論を言うと悔しいが完全に我が診療所は負けている。
ちょっと話があちこちするが今回のクルーズで感じたことを記してみたい。
日本の英語教育は間違っていないか?
今回英国籍の船だと言うこともあって、船の中のアナウンスメント、ショアー エクスカーション 英語だけ。さっぱりわからない。ショアー エクスカーションに参加して 自由行動になったとき再集合の時間と場所を間違えたら置いてゆかれるのでそれを聞くのが精一杯。 船で毎晩行われるショー。(定員1,100人の大きなホールがある)ここでは毎晩いろいろのすばらしいショーがあるがさっぱり言っている事がわからない。ある日のショーで曲芸があった。面白いこと?を言いながらやっていたが、 たまたまちょっとした失敗をして何か言ったと思ったらみんな「ワー」と。こちらは何がおかしいのやら。妻に訊いたら 今のは船が大きく揺れたから失敗したんだといった意味のことを面白おかしく言ったらしい。(今回のクルーズ 天気が良かった所為もあってかまったく船に乗っていることを感じさせないほどゆれなかった。)妻はほどほど分かるようだが同時通訳をしてくれるほどの力はない。腹話術のショーのときも満員の会場笑いの渦。こちらしらけっぱなし。プラネタリウムがあり見に行ったが星はきれいで楽しそう、でも説明はさっぱり解らん。
言葉がわかればもっともっと楽しかったであろうし世界各国、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、ロシア、イタリア、オーストラリア、をはじめオランダ、南アフリカそれに良く知らない国からの参加者とも食事が同じテーブルになり、本当にたくさんの国の人とお話できたが 残念だが「どちらからですか」とか、「暑いですね」とか」どちらのショアー エクスカーションに参加されますか」くらいでさっぱり会話が弾まない。 ミニ国際親善にもなり得ない。私が話した人たちは何処の国の人も英語に不自由していない。何のために英語を勉強したのか? 私事で恐縮だが4歳の孫の日本語の方が上。英語は世界語と強く感じた。そして言葉の壁は大きい。中学で3年、高校で3年、大学に入っても2年 英語の時間があった。日本の英語教育は間違っていないかと思った。
自動車 どこの国も狭い道に車があふれかえっている。この便利で不便なもの。何とかならないものだろうかと。それに外国では自動車は信号をきちんと守るが 歩行者はでたらめ。
追加しておきたいことの一つ 参加者の多くはペアー。日本と比べてレディーファーストが徹底している。エレベーターに乗るにしてもしっかり妻にしかられました。
今回経験したことのひとつに2時間走ろうが3時間走ろうが見えるのは水平線のみ。時間を気にしないでゆったりと午睡を楽しんだ至福の時、一度は世界一周をの船旅をと言う私の夢の一部が実現、それも世界最高の豪華客船QM2で実現出来たのは良かったのか?悪かったのか?
大学卒業以来40年余初めての長期休暇。豊かになったとはいえまだまだ働き蜂。3年に一度いや5年に一度でも良い長期休暇が取得できるようになってこそほんとに豊かになったといえるのではなかろうか?
何時そのようなときが来るだろうか?少しわびしい感じ。
最後に長い休暇をとりご迷惑をおかけした患者様にお詫びしたい。
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