1.インフルエンザとは
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することにより起こる。インフルエンザにかかった人がくしゃみなどをすることによりウイルスが空気中に広がりそれを吸い込むことによって感染する。これを飛沫感染という。インフルエンザの流行は通常初冬から春先に見られるが、時に春期や夏期にも流行することがある。 典型的なインフルエンザの症状は、高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などで、喉の痛み、咳、鼻水なども見られる。普通の風邪と比べて全身症状が強いのが特徴。気管支炎や肺炎などを合併し重症化することが多いのもインフルエンザの特徴である。 またインフルエンザは流行が始まると、短期間に小児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点でも普通の風邪と異なる。また普通の風邪は流行しても死亡する人はあまり増えないが、インフルエンザが流行すると65歳以上の高齢者で死亡率が普段より高くなる点でも普通の風邪と異なる。
2. インフルエンザの予防
予防の基本は流行前に予防接種を受けることである。これは世界的にも認められている最も有効な予防法である。 インフルエンザは飛沫感染で広まるから、人混みは避け日頃から十分な栄養や、休息を取ることも大切である。インフルエンザ感染の広がりには空気の乾燥も関連している。室内は適度の湿度を保ち、外出時のマスク着用や帰宅時のうがい、手洗いは風邪の予防と併せてお奨めする。
3. インフルエンザ予防接種の有効性
インフルエンザ予防接種の有効性は世界的に認められている。我が国でも65歳以上の高齢者に対して調査を行ったところ、予防接種を受けないでインフルエンザにかかった人の34%−55%は、予防接種を受けていればインフルエンザにかからないで済んだこと、また予防接種を受けないでインフルエンザにかかり死亡した人の82%は、予防接種を受けていれば死亡しないで済んだことが証明されている。 予防接種が十分な効果を持続する期間は約5ヶ月とされており、毎年インフルエンザが流行する前に接種を受けておくことが必要である。 またインフルエンザウイルスは毎年変化しながら流行するため、毎年流行が予測されるウイルスにあった予防接種を受けておくことが必要である。我が国の予防接種は近年の状況を見ると予測したウイルス株と流行したウイルス株はほぼ一致している。
4. インフルエンザ予防接種の副反応
予防接種の注射の跡が赤みを帯びたり、はれたり、痛んだりすることがあるが、通常2−3日で治る。 非常にまれにはショックやじんましん、呼吸困難などが現れることがある。
5. 予防接種を受ける前に
(A) 一般的注意 インフルエンザ予防注射について説明を良く読んで必要性、副反応について理解し、気にかかること、解らないことは接 種前に質問して下さい。 予診表は大切な情報です。接種を受ける人が、責任を持って御記入下さい。
(B) 予防接種を受けることが出来ない人
@ 明らかに熱のある人 一般的に体温が37.5度を超える場合 A 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人 急性の病気で薬を飲む必要のあるような人。 B インフルエンザ予防接種に含まれる成分によってアナフィラキシーを起こしたことが明らかな人 アナフィラキシーとは通常接種後30分以内に起こる激しいアレルギー反応、発汗、顔が急にはれる、全 身にひどいじんましんが出る、吐き気、嘔吐、声が出にくい、息が苦しい、などの症状に続きショック状態になるような 激しい全身症状。 C その他医師が接種が不適当と判断したとき。
(C) 予防接種の時医師とよく相談する人 @ 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気などで治療中の人 A 以前インフルエンザの予防接種を受けたとき、2日以内に発熱、発疹、じんましんなどのアレルギーを思わせる 異常があった人。 B 今までにけいれんを起こしたことのある人。 C 今までに中耳炎や肺炎によくかかり、免疫状態を検査して異常を指摘されたことのある人。 D 鶏卵、鶏肉その他鶏由来のものにアレルギーがあると言われたことのある人。
(D) 予防注射を受けた後の一般的注意 @ 注射後30分は急な副反応が起こることがあります。待合室で休んでお帰り下さい。 A 副反応の多くは接種後24時間以内に起こります。特にこの間は体調に気をつけて下さい。 B 入浴は差し支えありませんが、接種部位をこすらないで下さい。 C 接種当日は激しい運動、深酒は避けて下さい。
(E) その他 副反応が起こったら 予防接種後まれに副反応が起こることがあります。 予防接種と同時に他の病気がたまたま重なって発症することもあります。 予防接種後注射部位がひどくはれたり、高い熱が出たりした場合医師の診察をお受け下さい。
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